外保連とは

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お知らせ

平成16年11月19日

厚生労働大臣
尾辻 秀久 殿

“混合診療”についての考え方

外科系学会社会保険委員会連合
会  長  出 月 康 夫

 医療制度改革が論議される中で、“混合診療”の導入の拡大が検討されている。わが国の現行の医療制度の中でも、患者が希望すれば自由診療は可能であり、また混合診療もすでに特定療養費払い制度の中で実施されている。
今回、行われている「混合診療の導入」の議論の中での“混合診療”については、具体案がほとんど示されぬままに議論されているように見受けられ、これに対して外保連としての意見を述べることは困難である。
規制改革・民間開放推進会議から先日提出された例示的な具体例を見ると、少なくとも外科的なもの(乳房の再建、舌形成、PPHの使用、子宮筋腫の動脈塞栓、盲腸ポート)に関して見るかぎり、いずれも患者の価値観によってではなく、これらは全て厳密な医学的適応に基づいて実施されるべきものであり、すべて直接保険に適用を急ぐべきものである(外保連としては、すでに数年前から保険適用を要望している)。
制癌剤などの新薬の使用については、医療における高度先進医療に相当する新しい制度を構築して対応することが適当であって、混合診療として導入することは適切ではない。薬価制度は現行でも医療報酬制度とは別個に作られており、薬剤については別個の制度の中で混合使用の是非を議論することが妥当と考えられる。
いずれにせよ混合診療については具体例を示して、その妥当性、正当性を検討すべきものであって、それが示されずに混合診療制度の論議が進められることには反対である。
わが国は世界に類を見ない国民にとって有益な医療制度を構築しており、これを崩壊させるような医療制度改革であってはならない。十分な論議を尽くすことが必要であって、拙速は厳にいましめるべきであろう。